なあ、もしさ、羽が生えたらどこへ行きたい?と、突拍子もなく彼は僕に話しかけてきた。

ひねくれ者の僕は、何を言ってるんだ、羽なんか生えないよ、そんなものありえないだろう、と返した。

彼は、馬鹿だなお前、俺はね、羽が生えたら未来に行きたいよ、と言った。

羽が生えたら未来に行けるっていうのか。

そうさ、行けるさ。だってさ、お前の言う通り、羽が生えるなんて有り得ないものなんだよ。でもよ、そんなものがあれば、きっと未来にだって過去にだって行けてしまうと俺は思うんだよね。そうなったらさ、なんでも、1人でできてしまうようになるのさ、きっとね。